【試験概要+対策+結果】宅地建物取引士試験に80時間で合格した方法

(2020年9月17日更新しました)

こんにちは。シャイニングです。

以前不動産業界に勤めていたときは、宅地建物取引士の資格は必須でした

宅地建物取引士試験は、難易度がそこそこ高く(上位15%程度が合格)、ある程度勉強しなければ合格が難しい試験です。上場大手不動産会社勤務の場合、会社の経費で宅建のスクールに通えたり、会社に講師を招いたりと手厚いサポートを受けることができるので、1年目もしくは2年目で合格する人が多いです。

余談ですが、かつて私が勤めていた会社は、上場していましたが、特に学習サポートはありませんでした。宅建を受ける新人を「激詰め」するという、ある意味手厚いサポートはありました。私の同期が社長に詰められて泣かされていましたね(笑)

 

今回は、「宅建士ってなんだ?」という方にもわかるように、宅地建物取引士とは何かという説明から、宅建士になるために学習する範囲、私が試験に向けて対策した方法、そして、試験結果についてお話していきます(少々長くなるかもしれませんが、よろしくお願いします)。

 

宅地建物取引士試験とは何か。

まず、宅地建物取引士試験とは何かについて。

これは、有名な資格スクールのTACさんの説明をお借りします。

TACホームページによると、以下のように書かれています。

宅建や宅建士は「宅地建物取引士」の略称で、毎年20万人前後の受験者数を誇る最大規模の国家資格です。宅建とは、不動産取引の専門家(宅建士)を示す資格です。
宅建士になるための試験を宅建試験といいます。宅建試験に合格すると宅建士として、不動産の売買や賃貸物件のあっせんをする際に、その土地や建物について専門知識を有していないお客様に詳しい説明をすることができるようになります。

https://www.tac-school.co.jp/kouza_takken/takken_sk_idx.html

 

かんたんに言えば、専門知識があり、不動産取引のサポートができるということですね。宅建業を営むには、専任の宅建士を5人に1人以上事務所に所属させないといけないので、そういった意味でも必須の資格といえますね。

 

宅建士ができること

 

次に、宅建士ができることを見ていきましょう。
宅地建物取引士の資格を取り、免許証の交付を受けると、以下のことができます。

  1. 重要事項の説明
  2. 35条書面への記名押印
  3. 37条書面への記名押印

 

1と2について。まず、35条書面というのは、重要事項説明書のことです。

不動産の売買・賃貸契約の前に、買主・借主に対して契約前に知っておいてほしいことを重要事項として説明します(重要事項説明書はフォーマットがありますので、宅建士によって説明する項目が変わることはありません)。後々トラブルにならないように、この説明と説明書への記名押印は宅建士の資格を有する者しか行うことができないということですね。

そして3について。37条書面は契約書のことを指すと思ってください。重要事項の説明を行い、買主が納得した場合に契約を締結しますが、その契約書への記名押印も宅建士のみが行えます。 

以上が宅建士のみが行うことのできる行為です。

 

必須といわれる割には意外と使用範囲が少ないですね(業界的にこの資格を持っていない人間は半人前として舐められます。舐められないように資格を取得する意味合いも大きいです)。

それ以外のこと(内見の案内、契約書作成など)は資格が無くても問題ありません。

余談ですが、仲介会社などに勤めると、お客さんに物件を案内して、いざ契約に向けて重要事項説明という場面で、宅建士の資格がないと、資格を持つ誰かに交代してもらわないといけません。不動産業界、そんなに優しい人ばかりではありませんから(同じ雇われの身なんですけどね(笑))、嫌な顔されるかもしれませんね。

次に宅建試験の問題構成を見ていきましょう。

 

宅建試験の問題構成

宅地建物取引士の試験問題は以下のように構成されており、合格点は決まっていません。上位15%程度で線引きが決まり、合格点が決まるようですので、だいたい35問以上は得点したいところです。直近5年間の合格点の中で、最も高いものが37点でしたね。

  • 民法等(14問)
  • 宅建業法(20問)
  • 法令上の制限(8問)
  • その他関連知識(8問)

それぞれの分野に関して、簡単に説明していきます。

民法等(14問)

 

物件の売買は大きなお金が動きますので、トラブルになった場合に、損害額なども大きくなります。そのため、あらかじめトラブルになりそうなことを知っておく必要があり、法律の学習が必要です。こちらの分野は民法等ですので、マンションにかかわる区分所有法なども範囲に含まれます。

  

例えばこんな場合どうすればよいでしょうか

物件購入契約から決済日までの間に天災によって購入した建物が崩壊してしまった(代金は払う必要があるでしょうか)

所有者から家を購入したと思っていたが、実は売主は所有者ではなかった(売買契約は有効でしょうか)

所有者から家を購入したが、所有者が痴呆症で判断ができない人だった(契約は有効でしょうか)

住んでいるマンションが老朽化しているので、建て替えの議案が出た(どれぐらいの住人が賛成する必要があるでしょうか)

 

1億人以上の人間が日本で暮らしているため、これまで大小さまざまなトラブルがあったはずです。それゆえ民法の範囲は膨大で、突き詰めすぎると非常に時間がかかります(上記の質問に対する回答は、後ほどご紹介するテキストに掲載されています)。

 

市販の宅建テキストには、基本的かつ重要な事項が詰め込まれているので、一通り押さえて正解できるレベルまでは学習する必要がありますが、満点を目指すのは得策でないように思えます。テキストに載っていることを学習すれば、8割ぐらいにはなりますので、7割程度を目指し、大きく失点しない方針が賢いやり方だと感じましたし、宅建テキストにもそういったことが書かれていることが多いです。

※毎年必ず1~2問はテキストに記載されていない問題も出ますが、それは4択ですので、実力で消去できる選択肢は消して、あとは運に任せましょう。

 

宅建業法(20問)

 

宅地建物取引士試験の重要科目です。宅建業に携わるのですから、ある意味当たり前ですよね(笑)

ここでは、宅地建物取引士としての仕事内容や、免許、営業にあたっての届け出先、営業禁止となる事項など、宅地建物取引業を営む上で重要な事項を学習します。問題は20問ありますが、この分野は満点を目指し、9割以上は得点したい分野です。

宅地建物取引士試験は、少々ひねりのある問題が多いのですが、この宅建業法は、(数問微妙な言い回しで引っ掛けてくるような問題もあります)知識が得点に結びつきやすい分野でもあります。

あえて断言しますが、この分野で14問以下の正答率の人は、合格は難しいため、テキストの隅から隅まで暗記することをおススメします。

 

法令上の制限(8問)

 

この分野では、都市計画法や建築基準法などの、建設にかかわる法令や基準を学習します。

この分野に関しても暗記系が多く、少々つまらなく感じる分野です。実務を経験した立場からしても、この分野は合格者の多くが「学習した思い出」になる、つまり忘れてしまう分野とも言えますね。建築に関する知識等ですので、どうしても数値を頭に入れないといけませんし、宅建業法よりも点数も小さいので、おろそかになりがちとも言えます。

試験対策としては、基本を確実に暗記していれば8問中6問くらいは解けます。

毎年1~2問ぐらいは難易度の高い問題が出るため、この分野も満点は狙いにくいです。

 

その他関連知識(8問)

その他関連知識は3問の税金関係統計や地理学問題などの5問で構成されていますが、宅建試験には5問免除の講習があります。事前にお金を支払い受講したものは、統計や地理学問題の5問が免除されます(要は、お金で点数が買えるということですね。)

講習を受けていない人にとっては、5問の差が生まれます。対策をすれば4問は解けますので、講習受講していない人もできる限り落とさずに、全体で6問程度正解したいです。ちなみに私は、5問免除講習を受けませんでした。

税金に関しては、実務でもある程度頭に入れておく必要がありますので、学習が実務に直結します。

例えば、不動産を取得したときにかかるのは不動産取得税で、不動産を持っているとかかるのが固定資産税です。そういった用語がわからないと、不動産購入時・保有・売却にかかるコストが計算できませんよね。

不動産取引に関するコストが把握できない人が仕事をしても、お客さんに説明できませんし、「ここは捨てよう」と考えている方は、もう一度お考えになってもいいかもですよ(‘ω’)

 

試験に向けての学習を振り返って

  

宅建士の試験は、50問で構成されていて、合格点は決まっていません。傾向的に受験者の上位15%前後が合格しているため、難易度によって合格点が変化します。これまでは、32点から37点が合格点になっているので、8割(40点)以上取れば安心できると(当時の私は)判断しました。

8割を目指して学習することになるため、全体的にまとまった時間が必要です。また、覚えることも多くありますので、通勤時間などをうまく利用して暗記に努めようと考えました。

 

私はこのような順番で試験対策をはじめました。

①試験分析(上記で解説しましたね)

②目標点数設定

③学習時間試算&分野ごとの時間配分決め

④学習&過去問演習

 

試験分析(①)に関しては、上記で解説した通り、宅建業法が得点源(逆に言えば、この分野が取れないと落ちる)になり、民法は深入りしてはいけないと判断しました。

それを踏まえた目標点数(②)は、以下の通りです。

  • 民法等9/14
  • 宅建業法19/20
  • 法令上の制限6/8 
  • その他関連知識(税金等2/3、統計等4/5)
  • 目標合計点 合計40/50点 

宅建業法で1ミスまでにおさえて、民法はゆるめの目標としました。法令上の制限や関連知識に関しては、ちょくちょく基礎レベルは確実に正解する状態までもっていきたいと考え、無理のない点数計画に設定しました。

そして学習時間の試算です。私は、大学4年生の時に受験しました。

10月に試験がありますが、テキストを買ったのが9月。そのころの私といえば、ゼミの演習や、教員免許を取得するための授業、卒業論文を書くための研究、不動産会社でのインターンシップ、家庭教師のアルバイト等…予定ぎっしり(笑)

京都の大学からバイト先の大阪支店までの往復合計2時間しか勉強できる時間がないと気が付きました。バイトは、週4程度行っていたので、試験までのバイト日数(約20日間は取れるだろうと試算)で約40時間確保しました(結果として、試験1週間前の週にバイトを休ませてもらって、往復2時間+バイト8時間分を4日、つまり40時間追加で確保しましたので、あわせて80時間ですね)。

 

当時の私は、40時間で受からないといけなかったので、勉強スケジュールとしては、以下のように組み立てました。

・宅建業法を確実に暗記…20時間

・宅建業法問題演習…5時間

・宅建業法以外分野の学習(暗記もしていく)…10時間

・過去問演習…5時間(2年分と復習できるかな…)

正直受かるか不安でしたね。合格最低点(37点とする)に滑り込む方法として、この方法が最良だと考えました。宅建業法で19問取れれば、後の30問のうち18問取れば37点なので、可能性は十分にあると…。

 

結果的に80時間ほど取れましたので、勉強時間は以下のようになりました(簡単に記録していたので、多少の誤差はお許しください)。

・宅建業法を確実に暗記…25時間

・宅建業法問題演習…5時間

・宅建業法以外分野の学習(暗記もしていく)…30時間

・過去問演習…20時間(5年分はできる!)

 

こんな感じで、不安の原因となっていた民法等、他の分野への学習時間を増やすことができましたので、比較的安心して試験に取り組むことができました。

試験勉強はダラダラやるのではなく、過去問を演習しながら、出題の傾向や問題傾向(ひっかけが多いとか)を掴み、適切な対策をすることが大事です。勉強時間が点数になれば、たくさんやる意味はあるんですけどね…。

具体的な学習方法に関して、私がアドバイスできることもあるかもしれませんので、コメントいただけますと、お答えするかもしれません(たぶんきっと…)。

 

試験結果

 

上記のような手順を踏み、試験勉強を行いましたが、結果は以下のようになりました。

民法等 9/14

宅建業法 19/20

法令上の制限4/8 (目標未達成)

その他関連知識(税金等2/3、統計等/5)

合計38/50点 合格点35点

 

80時間程度の勉強時間で、仕上げることができました。法令上の制限は結構間違えましたね。テキストに掲載されていない知識を問う問題は、間違えますが、基礎問題を1つか2つほど落とした結果として、こんな点になりました。

 

結果としては、35点が合格点(上位15%程度で合格点が決定)でしたので、5点免除講習を受けていないものとしては、健闘できたと言えるかもしれません。

 

宅建試験の勉強時間の目安は300時間だとか言われています。試験が終わった後も知識をたくさん維持していたいと考えるのであれば、必要な時間かもしれません。ただ、とりあえず合格を目指す場合は、それほど必要ないと考えます。

テキストを学習していって、覚えた知識で問題を解いていくのではなく、問題の分析から傾向を掴んで、必要な知識を効率的に頭に入れていくのです。

つまり、受かるための試験勉強であれば、多くの人は、勉強の順番が逆なんです。先に傾向分析から入れば、時間が短くて済むのです。

これはどのテストにも当てはまります。家庭教師でも、生徒さんにこのことを伝えるだけで、どんどん成績を伸ばしてくれました。

大切なのは、傾向分析からの試験勉強という順です。

 

おススメのテキスト

先ほど、口うるさいほど「傾向分析からの学習という順番だ」と話しました。

そして、もう一つ大切なことがあります。

傾向分析からの学習における、テキスト選びです。試験対策を意識したテキストを選ぶことで、学習効率を上げることができますし、自分の傾向分析が間違えていた場合に、テキストによって修正することができます。

 

このテキスト選び、「どれも同じじゃないか」という声が聞こえてきそうですし、高校生ぐらいまでは私もそう思っていましたが…、それは全くの間違いです。テキストによっても、学習効率が変わります。

 

効率的に試験の対策ができるテキストで、あなたに合ったテキストを選ぶことが大切なのです。

 

私が宅地建物取引士試験を受験するにあたって、購入したテキストをご紹介します。

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多くの人に購入されているのはそれなりの理由があります。テキストは、知識がまとめられているのはもちろんですが、カラー印刷になっており、視覚的にも学習が効率よく進む工夫が行われています

文字が手書きのようなフォントになっているので、実際に書店で手に取って、なじみやすいか確認するのがベストでしょう(私は全く問題ありませんでしたが、人によっては、手書きっぽいフォントは見慣れないため、勉強しづらいという印象を抱くのではないかと思いました。)

 

余談ですが、学習をする際に、参考書の内容をノートにまとめようとする人がいますが、この参考書はすでに知識体系がまとまっているので、再度ノートにまとめるのは、正直言って時間の無駄です

一方で、自分が間違えた問題をノートに記録していくのは、有効と考えます。試験前に見直すことで、自分に特化した参考書となっていることでしょう。

 

結局合格できれば良いのですが、資格学校に通うのはお金がかかるので、独学でやりたいという私のような方にはおすすめできます。

 

まとめ

 

宅地建物取引士の資格は、不動産業界への就職を考えている方にとっては、大きな強みとなります。

難易度は多少ありますが、時間をかけてしっかりと学習を進めていけば、合格できる試験ですので、受験を検討されている方は、この機会に挑戦されてみてはいかがでしょうか。

皆様のスキルアップを応援いたします!

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