月やあらぬ 【伊勢物語】現代語訳!京大卒、国語教員免許保持者が解説!

月やあらぬ

月やあらぬ 【伊勢物語】現代語訳

伊勢物語の月やあらぬを現代語訳していきます!読みやすいよう原文と訳を交互に記載していきます!定期テスト対策などの学習にお役立てください!

原文)昔、東の五条に、大后の宮おはしましける西の対に、住む人ありけり。

訳)昔、左京の五条大路に、皇太后が住んでいらっしゃった御殿の西側に建てられた建物に、住んでいる人がいた。

原文)それを、本意にはあらで、心ざし深かりける人、行きとぶらひけるを、

訳)その人を、思うように会うこともできなかったが、愛情が深かった人が、訪れていたが、

原文)正月の十日ばかりのほどに、ほかに隠れにけり。

訳)正月の十日ぐらいの頃に、その女はほかの場所に隠れてしまった。

原文)あり所は聞けど、人の行き通ふべき所にもあらざりければ、

訳)居場所は聞いたけれど、普通の身分の人が行き来できる場所でもなかったので、

原文)なほ憂しと思ひつつなむありける。

訳)いっそうつらいと思いながら過ごしていた。

原文)またの年の正月に、梅の花盛りに、去年を恋ひて行きて、

訳)翌年の正月に、梅の花盛りの頃に、男は去年のことを恋しく思って女の屋敷へ行って、

原文)立ちて見、ゐて見、見れど、去年に似るべくもあらず。

訳)立って見、座って見、見るけれど、去年のありさまに似るはずもない。

原文)うち泣きて、あばらなる板敷に、月の傾くまで伏せりて、去年を思ひ出でて詠める。

訳)男は泣いて、がらんとしている板敷の上に、月が傾くまで身を横たえていて、去年のことを思い出して詠んでいる

原文)[月やあらぬ春や昔の春ならぬ わが身ひとつはもとの身にして]

訳)「月は昔のままの月ではないのか。春は昔のままの春ではないのか。自分の身だけはもとのままであって。」

原文)と詠みて、夜のほのぼのと明くるに、泣く泣く帰りにけり。

訳)と詠んで、夜がほのぼのと明ける頃に、泣きながら帰っていた。

 

月やあらぬ 【伊勢物語】の学習ポイントを解説!

月やあらぬ 【伊勢物語】の学習ポイント①物語のあらすじ

<月やあらぬ あらすじ>

昔ある男が、皇太后の御殿の西側の建物に住んでいた女のもとに通っていたが、正月に女は他の場所に移ってしまった。翌年男は女の住んでいた屋敷を訪れたが、すっかり変わってしまった様子に失恋を嘆く歌を詠み、泣きながら明け方に帰ったのであった。

このように表現することができるでしょう!

 

月やあらぬ 【伊勢物語】の学習ポイント②用語の意味

「おはしましける」の意味:いらっしゃった

「心ざし」の意味:愛情

「行きとぶらひけるを」の意味:訪れていたが(行きとぶらふ=行く+訪れる)

「あり所は聞けど」の意味:居場所は聞いていたけれど

「またの年」の意味:翌年

「似るべくもあらず」の意味:似るはずもない

おはす は頻出単語ですので、押さえておきましょう!

おはす

https://kobun.weblio.jp/content/%E3%81%8A%E3%81%AF%E3%81%99

月やあらぬ 【伊勢物語】の学習ポイント③押さえるべきポイント

人の行き通うべき所にもあらざりければ」とはどのような意味で、どんな場所でしょうか。

普通の身分の人が通うようなところではないという意味なので、宮中であることが考えられます。

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去年(こぞ)を恋ひて」とはどのような意味でしょうか。

去年は女のもとに通っていた時期なので、女とともに花や月を愛でていたことを思っているという意味であることが読み取れますね。

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「月やあらぬ春や昔の春ならぬ わが身ひとつはもとの身にして」の和歌に込められた想いを考えていましょう。

直訳すると、「月は昔のままの月ではないのか。春は昔のままの春ではないのか。自分の身だけはもとのままであって。」となりますが、これを踏まえると

自分は変わることなく女に想いを寄せているのに、女が住まいをうつした後、全てが変わってしまったことを嘆き悲しむ心情

このように表現することができるのではないでしょうか。

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他にも現代語訳をしています!ぜひ学習にお役立てください!

https://shiningfreeter.com/karinotukai/2598/

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